テニス愛好家必見!!テニス肘の症状とその対処法

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スポーツ愛好家の皆さんなら、誰しも一度は聞いたことのある〇〇肘、〇〇肩、〇〇膝。このスポーツなら膝を痛めやすいし、このスポーツなら肩を痛めやすい!!など各種スポーツによって障害となる部位があるのは皆さんご存知ですよね。そして、テニス肘は誰にでも起こる可能性があることを知っておいて下さい。

テニス肘と聞くと、その名の通り「テニス」に多い疾患の一つであるということは、想像しやすいと思います。しかし、本当にテニスをやりすぎだけが原因で、テニス肘になるのでしょうか? いえいえ、そんなことありません。

実はテニス以外でも、テニス肘を発症する可能性を秘めています。何気ない日常の動作が原因だったということも珍しくありません。そこで、今回はテニス肘についてしっかりと正しい知識をもち、適切な対応ができるように、装具療法についてと再発予防のためのアドバイスを含め解説してまいります。

1.テニス肘とは?

そもそも「テニス肘」とはなんでしょうか?
肘のどの辺りを指すのでしょうか?それは、肘の外側です。
医学的には「テニス肘=外側上顆炎」というような診断名がつきます。(厳密に言うと「テニス肘≠外側上顆炎」なのですが、ここでは便宜上「テニス肘=外側上顆炎」とさせて頂きます。)

つまり、反復される動作により、肘の外側にあるなんらかの軟部組織(筋肉、腱、靭帯etc)に微細な損傷や組織ダメージが生じた結果、炎症を起こし痛みとして出現した状態を指します。ですので、「テニス肘」の主な症状は、”痛み(疼痛)”です。
ここで、混同しやすい症状として、”しびれ”があります。あくまで、肘の外側にある軟部組織のトラブルですので、神経症状である痺れはテニス肘の症状ではないので、ご注意ください。(痛み、痺れがある場合は、専門家の受診をお勧めします。) 

では、症状についてはこれくらいにして、次にテニス肘(外側上顆炎)になりやすい人について説明します。以下に該当する方は要注意かもしれません。 

1-1.テニス肘になる人の特徴とは?

まず、統計的なデータによると・・・※1

  • 年齢:4252歳の男女
  • 生活習慣:肥満体型や喫煙者
  • スポーツ歴:テニス愛好家
    (ちなみにテニス愛好家の方のみの比較では、男性が多いようです。)

テニス肘になりやすいタイプには、おおきく2タイプに分かれます。

  • テニスの愛好家
  • デスクワークの多い事務職や家事動作が多い主婦 

 ここで、一つ疑問が浮かびます。同じテニス肘(外側上顆炎)なのに、テニスと日常生活(家事動作)という負荷量の異なる動作で、痛みがでるのでしょうか?
実は、この2タイプには共通する特徴があります。それは、「決まった動作を繰り返す、反復する」ということです。つまり、肘に負担のかかる動作を頻回に繰り返すことで、「使いすぎ(オーバーユース)」となり、組織の微細な損傷を起こし、テニス肘を発症することが多いようです。

テニスであれば、バックハンドを繰り返したりする。家事であれば、雑巾を絞ったり、物を持ち上げたりする。など痛める原因は様々ありますが、何度もお伝えしているように「使いすぎ」が痛みの原因なので、繰り返し反復する動作、もしくは普段よりも動作を繰り返す(例えば、熱心にバックハンド練習に打ち込む、年末の大掃除で雑巾がけをする)ことがきっかけとなることが多いようです。

 では、テニス肘になってしまった場合はどうように対処したらいいのでしょうか? 一般的には鎮痛薬の服用、安静など、いろいろと選択肢はありますが装具(サポーター)を使用することが多いようです。しかし、装具の効果は果たしてあるのでしょうか? その辺りを次の章で解説していきます。

2.良く聞くテニス肘 バンド(装具)効果はあるorない?

テニス肘になると、まず処方されるのが「エルボーバンド」です。これは、テニス愛好家の皆さんは、よくご存知の方も多いと思います。この装具の特徴は、痛みが出ている筋肉の付着部の手前部分を圧迫することで、痛みが出ている部分(筋肉の起始部)の負担を軽減する目的で使用されます。


 http://www.zamst.jp/product/elbow-band-2/

では、実際装着すると効果があるのでしょうか?
残念ながら、現段階の研究結果では「効果なし」※2との意見が多いようです。しかし、使用された方々の主観的な意見として「痛みの軽減」や「動作時の痛みの軽減」などの効果はあるので、一概に否定はできませんが、現段階では科学的根拠までは見いだせていないようです。
テニス肘は治らないのか・・・なんて極論を言う方はいないでしょうが安心してください。治ります。

2-1.テニス肘の9割は保存療法で治る 

ここで言う保存療法とは、、、
①運動療法(ストレッチや筋力強化)
②注射(ステロイドやヒアルロン酸注射)
③装具療法などです。

残り1割は難治性のテニス肘となり手術療法の適応となります※3)今回は手術に関しては割愛いたしますが、手術成績は予々良好のようです。実際、手術になる方の訴えとしては、「再発を繰り返す」などの意見が多いようです。では、なぜ「再発」を繰り返すのでしょうか?「再発」を繰り返さないためには、なにか対処法があるのでしょうか?次の章では、「再発」にフォーカスを当てて解説していきます。

 3.再発を防ぐためには“抵抗力”をあげること

身体にある組織には必ず「抵抗力」があります。簡単にいうと、“組織に生じた外力に対して抗う力”です。この抵抗力は、強くもなり、弱くもなります。どんな時に弱くなるのか?それは、組織の耐えうる力を上回り、組織損傷が生じた時です。

(1)一回の負荷が組織の抵抗力を超えた時

(2)一定の負荷が反復され蓄積された結果、組織損傷が生じた時

ただし、人間には治癒力がありますから、一定の期間安静にすると一旦回復しますが、元の抵抗力まで回復しないのです!!そこが、再発を繰り返すきっかけになるのです。 つまり、「一度痛めた組織は、自然治癒力で回復するものの、以前と同じような負荷下に晒された場合、以前よりも組織抵抗力は落ちているので、以前よりも簡単に痛める可能性がある」ということになります!!!

 なので、いくら痛みがとれても、回復しても組織の抵抗力を上げなければ、再発してしまいます。。。この悪循環を繰り返すことが、難治性テニス肘(慢性)の道を歩んでいくことになるのです。では、「どのようにして抵抗力を上げていけばよいか?」については次の章で解説していきます。

3-1. 再発を防ぐには、“抵抗力”をあげること

テニス肘の治療のスタンダードなものとして、運動療法があります。運動療法とは、硬くなった筋肉をほぐすためのストレッチやマッサージ、傷めて弱った筋肉に対して筋力強化などを行うことを指します。特にテニス肘の原因である「肘伸筋群(尺側手根伸筋/総指伸筋/腕橈骨筋/長・短橈側手根伸筋)」の中でも「短橈側手根伸筋」は解剖的特徴により傷める可能性が非常に大きいので、よりストレッチや強化する必要があります。

ですが、これらの対処法はあくまで現時点の痛みを改善するための手段になります。ここから、さらに「抵抗力」を上げてこそ再発予防となるのです。

3-2.抵抗力を上げるには、抵抗力のギリギリを見極める!!

「抵抗力」を別の言葉に言い換えると「強度」と言う言葉が近い印象です。“抵抗力を上げる”というイメージが湧かない方もいらっしゃるので、刀で例えてみます。ちなみに、皆さんは刀職人が刀の強度を上げる工程はご存知でしょうか? なかなか知らないですよね(笑)

刀を鍛え上げていく際、何度も高温の釜で炙っては、金槌で打ち、炙っては打ちを何千回も何万回も繰り返して強度を上げていくのです。少しでも、炙りすぎたり、冷やしすぎたりするとヒビが入ったり、変形したりと非常に繊細な作業なのです。ですので、肘も何千回も何万回も打ち付けることで強くなっていきます!!

なんてことはありませんが、イメージは刀を鍛え上げることと似ています。

では、肘の場合どうするか? テニス肘の痛みの原因は、様々でしたがその一要因に、筋力低下があります。その為、肘伸筋群の抵抗力ギリギリを見極めて強化していくことが再発予防の手がかりになります。抵抗力のギリギリとは、負荷をかけた後に「痛み」や「炎症」がでないことが目安になります。下図のように階段を登るように、強度や量を徹底的に管理し、強化します。注意点として、負荷をかけた後に「痛み」や「炎症」が出てしまった場合は、負荷が強すぎると言うことなので、一段階下の負荷設定にすることで”組織の抵抗力”が高まり、再発の起こりにくい状態までステップアップできます。
以上のようなことを考慮して、トレーニングやリハビリを行うことで症状の治癒のみならず、再発しないテニス肘への道を歩んでいけるでしょう!!

4.まとめ

テニス肘の要因は、様々ありますが今回は「組織の抵抗力」にフォーカスを当て解説していきました。もちろん、抵抗力以外に、身体の柔軟性や、筋力、フォームなど他にも手を打つべきことはたくさんあります。ですが、まず傷めて抵抗力が落ちた組織は、しっかりと強化してトレーニングに臨むことが非常に大切なノウハウであると思います。

引用文献
※1 福林徹、蒲田和芳 「スポーツにおける肘関節疾患のメカニズムとリハビリテーション」74-75
※2 西塚隆伸、平田仁 「エルボーバンドによる上腕骨外側上顆炎の治療」 MB Orthop.28(9) 27-34
※3 和田卓郎、織田崇 「上腕骨外側・内側上顆炎の診療と最近のトピックス」MB Orthop.28(9)9-14
参考文献
・日本整形外科学会診療ガイドライン 上腕骨外側上顆炎 診療ガイドライン 2006

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