一目瞭然!!こどもの腰椎分離症 スポーツ復帰までのプロセス

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「最近、腰が痛いんだよね」と突然こどもから相談を受けたあなた。
心配になり病院へ駆け込むと、「腰椎分離症」と診断され「安静にしていれば治りますよ」と医師から指示されたものの「いつから部活動が始められるのか?」「どんなことをすれば良いのか?」反対に「どんなことはしてはいけないのか?」などの具体的な対処法を教えてくれない!なんて経験ありませんか?

こどものことを考えれば、ただ安静にして部活動を休んでおくというのは苦行に近いので、何の指示もなく安静にしておくのはあまりお薦めできませんね。

 そこで、今回は「こどもの腰痛の原因に多い腰椎分離症」についてスポーツ中止/継続の判断基準についてと時期毎に応じた具体的な対策について取り上げてみました。是非、こどもさんのスポーツ復帰の判断基準の参考にし、一日でも早く復帰への足がかりにしてみて下さい。

1.はじめが肝心!!成長期腰椎分離症を正しく理解する

部活動やスポーツなど、頻繁に体を動かすこどもに多い腰痛と言えば成長期腰椎分離症です。といきなり言われてもなんの事かさっぱり見当もつきませんよね。そこで、まずは「腰椎分離症」がどんな病気なのか理解していきましょう。 

1−1.腰椎分離症とは何か?

まず一般的に腰部と言われる部分は、5つ椎骨(腰椎)と呼ばれる骨で構成されます。
 
その腰椎の一部分を構成する椎弓(赤丸の部分)が捻られたり、ぶつかったりなどのストレスを受けることで骨が損傷し、椎体部より離れてしまう(分離してしまう)骨折のことを腰椎分離症と言います。

腰椎分離症になる要因には様々ありますが、多くは運動やスポーツによる腰骨への反復する負担が原因で腰椎分離症を発症していきます。この腰椎分離症ですが、青少年の10%にみられ、さらにスポーツを行なっている子供と運動を行なっていない子供を比較すると発生率が3倍もの差があります。ですので、諸要因ありますが、”運動/スポーツをしているこども”は重要な発生要因であることは周知の事実です。では、どのようなこどもが腰椎分離症を発症しやすいのか?腰椎分離症になってしまう原因についてを考えていきましょう!!

 1−2.腰椎分離症を引き起こす3つの原因

分離症を患ってしまうこどもの特徴はいくつかあります。その中でも特に多い身体的特徴について解説していきます。

1−2−1.捻る/反る動作を多く含むスポーツは要注意

もともと腰骨は構造上、捻る運動よりも前後に屈伸する運動に適した構造をしています。その為、体を強く捻る動作の反復は腰にとっては、とても負担が大きいことが理解できます。また、野球やサッカー、投擲竸技などのスポーツは他のテニスや体操などの竸技と比べると、捻りや反る動作を多く含むので発症しやすいスポーツですので、注意が必要です。

1−2−2.支える筋肉が弱いと、腰骨への負担が増える

なんと言っても腰骨の動きをコントロールするのは、“筋肉”です。しかし、成長過程のこども達の場合十分に体幹(お腹や背中)の筋肉が発達しておらず、骨性支持への依存が大きくなります。基本的にヒトの背骨を支えているのは、背中側にある背筋群の中でも腰部多裂筋が、お腹側にある腹筋群の中では腹横筋がインナーマッスルとして背骨を支えています。しかし、これらの筋肉が弱い、もしくは機能不全を起こしていると、背骨や腰骨を支えたくても支えきれず運動調整が困難となり、腰部に負担をかけてしまいます。

幼少期より、色んな運動を行なっている子供は比較的体幹機能が発達しており運動をコントロールできるのですが、あまり運動経験のないこどもの場合、急激に部活に入って運動し始めた頃から痛いなどは典型例ですね。

1−2−3.身体の固さは命取りに 

ここまでは腰に主眼を置いてきましたが、忘れてはいけない部分があります。それは、腰と密接な関係をもつ股関節の動きです。本来、股関節は他の膝や足首に比べ、色んな方向に動く構造になっています。「股関節を制する者は、スポーツを制す」ではないですが、非常に重要な役割なのです。特に捻り動作の場合は股関節の動きが大変重要になります。しかし、筋肉が柔軟性を失い股関節の動きが制限されればより一層腰骨に負担が大きくなるのは明白です。ですので、よく耳にする「前屈ができない」「あぐらがかけない」「踵がお尻まで届かない」などは股関節や脚周りが固い証拠ですので、しっかりとチェックし対処する必要があります。以下に簡単な身体の硬さチェックリストを載せましたので、是非こどもさんと一緒に試してみて下さい!! 

大腿部前面(大腿四頭筋)/大腿部後面(ハムストリングス)
股関節前面(腸腰筋)殿部後面〜側面(外旋筋群/内旋筋群) 

このように、ご自身やお子さんの身体の状態を把握することで、必要な対処の仕方が明確になります。その上で、各個人に応じた運動やストレッチの方法を選んでいきます。

ここまでは、腰椎分離症の原因について、①捻る/反る動作が多い種目②体幹の筋力/機能低下③全身の柔軟性低下など3つのトピックスでお話してきました。次の項では原因に対する具体的な対処法について説明する前に、対処する腰椎分離症の病期についてお話します。なぜなら、腰椎分離症の治療は、この「病期」に左右されるからです。

 1−3.腰椎分離症の治療方針は病期によって変わります!!

おさらいしますが、腰椎分離症は簡単に言うと“腰骨の骨折”です。しかし、交通事故のように一度に大きな外力が働くことで起こる骨折とは発生する状況が異なります。本来であれば、軽微な外力が1回加わるだけでは、骨組織を損傷するには至りませんが、繰り返し加わることで正常な骨であっても微細な損傷が生じます。そして、ヒトに備わっている自己治癒能力(自己修復能力)を超えて微細損傷が蓄積され疲労骨折へと至るのです。これが腰椎分離症のきっかけとなるのです。
つまり、腰椎分離症の初期段階は腰骨の疲労骨折となります。ここで1点注意しておきたいことがあります。それは「この初期段階をどうやって見分けるのか?」です。残念ながら現在どの時期なのかは、CTや MRIなどが設置されている専門機関でのみ判断できます。ですので、決して臨床症状だけで病期が分かることは無いのでご注意下さい。
さて、話を元に戻しますが腰椎分離症の病期は、大きく4つに分かれます。

腰椎分離症の病期分類(CT)

以下に腰椎分離症の病期分類を表にて示します。この病期分類のキーワードは「骨癒合が望めるか?望めないか?」です。

  • 超初期
    レントゲンやCTでは骨折線がはっきりせず、MRIで椎弓根周辺に骨髄浮腫様輝度変化がみられる場合
  • 初期
    CTにて部分的骨透亮像やヘアライン様の亀裂が認められる場合
  • 進行期
    CTにて明瞭な亀裂を伴うが分離部の骨硬化は認めない場合
  • 終末期
    CT及びレントゲンにて分離部周辺に骨硬化がみられる。いわゆる偽関節の場合(レントゲン読影の際に、斜位像にてスコッチテリアの首輪と言われている)

治療方針① 骨癒合が望める場合

病期分類では、超初期と初期段階が骨癒合が期待できます。その為、確実にスポーツ中止を行い硬性体幹装具による固定を行います。この段階の場合、適度な休息と装具療法による適切な対処が取れれば骨癒合率は90%以上を期待できます。癒合が得られる平均日数は3ヶ月を要します。

  • スポーツ中止による負荷量のコントロール
  • 硬性体幹装具による患部安静を促す固定 などが主体

治療方針② 骨癒合が望めるかどうか分からない場合

表現がやや曖昧ですが、病期分類の進行期は対処後に骨癒合する場合と骨癒合しない場合があります。ですので、治療方針は原則初期段階と同様で骨癒合を望んだ方針となります。ここで重要な指標となるのがMRI評価です。MRIにて椎弓根周辺に骨髄浮腫様輝度変化の有無により骨癒合率が異なります。(輝度変化あり:骨癒合率 約60% 輝度変化なし:骨癒合率 約30%)ちなみに初期よりも骨癒合に要した機関は5〜6ヶ月と長くなります。

治療方針③ 完全に骨癒合が望めない場合

最終段階の終末期の場合は、残念ながら骨癒合率は0%です。その為、この時期の目的は「疼痛管理」が治療の主体となります。

長々となりましたが、腰椎分離症は疲労骨折部が分離する前に手を打たなければ手遅れになります。一度離れてしまった骨は自然に元には戻りません!!
だからこそ、子どもさんが「腰が痛い」と訴えた時はすぐにでも専門機関を受診し、病期を見極めてもらい適切な処置を施す必要があります。分離する前ならまだ間に合います!!そこで、頭の片隅でいいので分離症の典型的な症状を入れておいて下さい。

 知っ得!腰椎分離症の臨床症状

  • 運動中の瞬間的な腰痛がある
  • 座ってたり、立ってたりしても腰痛増強がない
  • 安静で症状が軽快する
  • 狭い範囲での腰痛の訴えがある
  • 片側に偏った腰痛
  • 腰を反った時に腰痛がでる
  • 腰から太腿にかけて放散するような痛みがある

上記の訴えは、早期発見の為に欠かせない情報ですので医療関係者でなくても、これらの症状には十分に注意しながらこどもの訴えに耳を傾けてあげて下さい。そして、きちんと病期を見極めてもらい、適切な対処を打つことがスポーツ復帰への近道となるのです。

2.これで納得!!腰椎分離症の正しい3つの対処法

2-1.全身の柔軟性を獲得すること!

どの病期にしても、身体の柔軟性を獲得・維持することは極めて重要です。なぜ柔軟性が大切なのか?理由は前項で述べたと思うので簡単に説明しますが、腰椎分離症の原因の多くは腰骨に対する過度な反復運動ですので、きちんと上下の隣接し合う関節が連動して動かなければその分、負担は増えてしまいます。ですので、ストレッチを覚えておくことは予防対策にもなるので、この機会にしっかりとマスターして下さい!!

①ハムストリングス(太ももの後面) ジャックナイフストレッチ

②大腿四頭筋(太ももの前面)

③臀筋群(おしり周り)

④内転筋群(太ももの内側)

ストレッチは、定期的に実施することで必ず効果が現れるので、騙されたと思って続けて下さい。ちなみに紹介しているジャックナイフストレッチですが、1回/10秒(5セット)を朝・夕を4週間程度続けると平均20cmの改善すると証明されています。是非、この機会に怪我の少ない身体作りを始めましょう!!

2-2.身体の支えを作ること!

よし!!柔軟性させ改善すれば大丈夫!!なんて思ってませんか?
いくら柔軟性が獲得出来たとしても、運動をコントロール出来なければ腰痛を再発してしまう可能性があります。そこで、脊柱を支える筋群の中でもより重要となる「多裂筋」と「腹横筋」にフォーカスを当てたトレーニング内容をご紹介します。
まずは、準備運動を行いお腹/背中周りの筋肉が収縮しやすい状態にしていきます!!

準備運動


さて、次はいよいよ本番ですよ!!

背中周りを中心としたエクササイズ(多裂筋)

お腹周りを中心としたエクササイズ(腹横筋)

2-3.負荷量を調整すること! 

柔軟性も筋力も改善したから、もうこれで再発はしないはずだ!!と思い込んでいるあなた!!
要注意です。一度、現場から離脱した状態の身体は全身的に組織の抵抗力が落ちていて日常生活レベルほどの強度しかありません。ですので、いきなり練習や試合に参加してしまうと他部位を怪我するか、再発する可能性が非常に高いのです。まずは下図のように腰にかかる負荷量を調整していき、目標とする段階まで漸増的に負荷をかけていき復帰へと計画的にトレーニングしていかなければなりません。ここでの負荷量は(強度:重さやスピード)×(量:回数や距離)を指します。

そして、負荷をかけた後の組織反応の指標として「炎症反応」を目安にして下さい。勿論、運動中に痛みを伴っている場合は、明らかに過負荷ですので、直ぐに中止し、痛みの出ない負荷へと調整する必要があります。

腰椎分離症は病期毎で治療の目的が異なることがお判り頂けたでしょうか?
今回、紹介した対処法は骨癒合が目的であっても、骨癒合が期待できなくても必須のトレーニング内容ですので、トレーニングにしっかり組み込み再発しないような管理をしていきましょう!!

3.まとめ

今回は、腰椎分離症の病期を見極めることの重要性と、病期別のスポーツ復帰期間の目安についてお伝えしてきました。また、病期によって「骨癒合が最優先する場合」と「疼痛管理を優先する場合」の2つに分けても解説してきました。いずれも、明確な目的の元、適切なトレーニングを行うことで腰痛などの症状は軽快してきます。今回上げたトレーニング内容をしっかり実践し、再発しない身体作りを目指していって下さい!!

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