知っておくだけで違う!繰り返さない為の内側側副靭帯損傷に対するリハビリ3つの法則

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スポーツによる怪我。
特に膝内側側副靭帯(以下MCL)損傷は、膝関節の靭帯損傷の中で最も頻度が高い。そのため、スポーツ現場や医療で対象にする機会が多いと思います。その中でもよくなったり、悪くなったりを『繰り返している』選手、患者さんで悩んでいませんか?
何とかよくなってもらいたい!繰り返さないためにはどうしたらよいか、私も日々悩んでいる一人です。
選手が「痛みなく、プレイできた!」「良いパフォーマンスが出せた」といってもらえたら最高ですよね。
今回は、内側側副靭帯損傷のリハビリ・特に『繰り返し』について焦点をあてていきたいと思います。

1.繰り返すのはなぜ!?3つの阻害する要因の法則はこれだ!!

1-1 抵抗力VS負荷量(3Sとは)とは

さて、1つ目のキーワードとして抵抗力と負荷量をあげました。
そもそも抵抗力とは、内外部からの負荷に対して、組織破壊をおこさず、炎症反応を生じない、局所の物理的な抗う力のことをいいます。 負荷とは、ここでは3Sとし、
『ライフスタイル』栄養や生活リズムなど
『ワークスタイル』デスクワークや力仕事、長時間の同一姿勢など
『トレーニングスタイル』オーバーユース・アンダーユースなどです。
クライアント、患者さんが行う最終的なゴール(姿勢/動作)から考慮し、3Sのどの部分の問題が大きいのか。反対にこの部分に問題はないのか。そうであれば違う要素が大きいのではないかという評価基準にもなります。
たとえば、
練習量が非常に多く、質的にも厳しいトレーニングを休みがないような状態で続けているとします。そうなれば、
 「トレーニング量、質の増加に、体(膝)が耐えられていない。」いわゆる「オーバーワーク状態」
抵抗力を上回る急激な負荷の変化が、痛みを生じる一つの要因となります。
そのため、痛みを緩和、コントロールするには、 「トレーニングの量、質をコントロールする」 「局所の抵抗力をあげる」 という方法へとつながります。言葉では簡単ですが、どうやって判断して決めればよいのか、難しいところですよね。
それでも私たち医療職は判断できる勉強を確実に行ってきています。

 

★見極め方

単純明快ですが、大事なことはやはり『炎症反応』です。そんなのわかっている!当たり前だ!と思うでしょう。
そんな当たり前のことですが、なぜ炎症反応が出るとだめなのか説明できますか?
「腫脹、熱感、疼痛、発赤、機能障害が出ているから」
それはあくまで症状なので、なぜ『抵抗力がつかない状態か』という答えにはなりえず、説明には不十分です。
 炎症をおこすと局所組織の細胞間の循環は膨張して、
不動による局所の硬結と癒着がおこり、局所の酸素と栄養との不足、局所周囲の表層の癒着を原因としたリンパによる間質液排出機能低下がみられます。自律神経機能低下/不全:疾病もしくは過剰なストレス反応もおこります。
この状態で刺激を入れてトレーニングしても、タンパク合成を行いたくてもその原料となる酸素はないので細胞が活性化しない。いわゆる局所の栄養不足をきたしているため、運動効果が悪くなります。
そのため、
炎症反応を見極めることで負荷量と質のコントロールを同時にではなく、ひとつずつ変化させながら、どちらの要因なのか?という観点が必要となってきます。

1-2 アライメントとは

MCL損傷は膝関節に過度の外反、下腿の外旋動作が抵抗力いわゆる『伸張ストレス』が加わったときに損傷がおこりやすい。いわゆるKnee inのアライメントでは膝関節に外反ストレスがかかり、MCL部は伸張ストレスが加わります。もちろん一度の強い外力のストレスでの損傷もあれば、微力なストレスでも長期間、繰り返し受けていれば、損傷を起こすこともあります

アライメント不良のまま同じ動作、運動を行い続ければ、上記でお話しした、抵抗力と負荷量の関係性も崩れやすくなってしまいます。
アプローチ方法の考え方としては、
免荷/負荷を軽減させる方法
局所抵抗力を強化する/負荷に打ち勝つ方法があります
ただし、アライメント不良=悪とは言い切れません。特徴的なアライメントの中でも炎症反応、組織破壊がないのに、あえてアライメントを修正したあとのパフォーマンスが落ちてしまうという可能性も十分に考慮しなければなりません

1-3 心理社会的要因とは 

「その痛みはメンタルだよ!メンタル!!」

現場では言われていることもあるとおもいます。でも本当に局所の問題だけではなく、心理的な面の比重が多い場合などどうやって判断するのでしょうか?

『繰り返し』ているということは長期間にわたってMCL損傷と付き合って生活、運動を行っているということが多いです。
組織損傷はなく、痛みも局所ではなく、全体的にぼわーとしている場合もみられます。
選手、クライアントがMCL部が痛いと訴えていても、実際に痛みがでている所は他の軟部組織ということも少なくありません。損傷を繰り返しているため、痛みの認知もずれているケースもあります。

『慢性的』これが一つのキーワードになります。
そんなときには、自律神経機能を評価していくことが評価の一つです
たとえば、睡眠はしっかりとれているか。食欲はあるか。心拍数、血圧、体温調節、発汗具合、排便、排尿リズム、性欲、躁鬱など、無意識下での自分の意思で自在にコントロールできない部分です。
自立神経機能を活性化させるためには、簡潔述べると
『とにかく自身にとって気持ちのよい刺激が入ること』
運動でも良し。音楽でも良し。ヨガ、瞑想、読書、物理療法なんでも良いです。ただし、暴飲暴食などその行動自体が問題となる行為はいけません!!
要するに、がんばって働き過ぎている交感神経優位な状態からリラックスさせる副交感神経優位になる活動を促すことが目的なのです。
本項目では繰り返しについてを掘り下げました。
次項目ではMCL損傷に対するリハビリについてお話していきます。

2.簡単にわかる!内側側副靭帯損傷に対するリハビリの基礎知識

2-1 内側側副靭帯損傷の治癒期間

靱帯損傷についての復習です。
治癒期間は
グレードⅠ(20%断裂) 5~14日
 グレードⅡ(20~75%断裂)…14~30日
グレードⅢ(75%~完全断裂)…数ヶ月 となっています。

2-2 内側側副靭帯の解剖

・MCL損傷の分類

グレードⅠ

MCL付着部(通常は大腿骨内側上顆の付着部)に限局性の圧痛や腫脹があるものの 膝関節伸展位、30°屈曲位ともに徒手的な外反不安定性を認めないもの

グレードⅡ

MCL付着部に圧痛があり、膝関節伸展位では外反不安定性を認めないが 30°屈曲位では健側に比べて外反不安定性を認めるもの

グレードⅢ

膝関節伸展位、屈曲位ともに外反不安定性を認めるもの。 30°屈曲位ではその不安定性が増強される。

MCLは膝関節内側支持機構の主要な構造で、浅層と深層に分けられます。
浅層は大腿骨内側上顆からおこり、遠位部では鵞足の深部を通過し脛骨内側顆の内側縁と後縁に幅広く停止します。前方部は強靱で内側支持組織の主要な構成体である前斜走繊維からなります。また一部の繊維は大腿骨側から後方遠位にむけて斜走する。これは後斜靱帯(POL)として区別することもあります。
浅層は内側広筋と内転筋に繊維を出し、膝関節前内側方向の動的安定性を司り、後斜靱帯は内側半月板や半膜様筋に連結し、前方、後方の動的安定性に関与します。 MCLの作用はその走行上、下腿の外反と外旋を強力に制動し、前方引き出しにも補助的に拮抗します。そのため、MCLの損傷に伴い、膝関節の外反不安定性や前内側回旋不安定性(AMRI)を生じます。
グレードⅢの場合はMCL損傷のみではなく、内側関節包や前十字靱帯、後十字靱帯の損傷を伴っていることが多く、手術適応とする報告が多くあります。

MCL損傷の有無を確認する徒手検査には外反ストレステストがあります。
検査方法は背臥位で、膝関節伸展位と30°屈曲位とでMCLの緊張を触知しながら膝関節に外反ストレスを加える。30°屈曲位において健側と比較して疼痛や動揺性が認められる場合に検査は陽性。MCLの特に前方繊維の損傷を疑います。
一方、膝関節伸展位ではMCL後方繊維、前十字靱帯、後十字靱帯、関節包などの緊張が増すため、MCL単独損傷のみでは陽性となりにくく、伸展位でも陽性ということは、MCL損傷の重症度が高く、複合靱帯損傷であることが疑われます

さて、ここからリハビリについて述べていきたいと思います。

2-3 内側側副靭帯損傷のリハビリ

・関節可動域訓練
・筋力増強訓練
・筋、筋間リリース
・動作訓練(スポーツトレーニング)
・物理療法 などなど
治療方法から種類まで本当に様々あります。
何を選択してよいのか・・・難しいですよね。
手段の一つとして、いくつか動画を紹介していきたいと思います。


・これは可動域拡大と関節内運動の効率化を図るFT関節のモビライゼーションです。

 

・これは大腿部の筋・筋間の癒着があった場合のリリースです。

『痛みをとる』『パワーアップを図る』『スピードをあげる』『可動域を拡大する』

これらももちろん非常に大事な構成要素ですが、はたして上記のみで、選手、患者さんはパフォーマンスアップして、繰り返さない身体に限りなく近づくでしょうか?
最も大事なことはしっかりと『ゴールからとらえられているか否か』ということです。
その人のライフ/ワークスタイルもしくは競技特性(ルール、ポジション、道具、主運動・副運動の生理学系の把握など)をしっかり落とし込み、そのゴールに向かった機能的な治療、トレーニングを組み立てていく必要があります。
そこを目指した上で行うトレーニング、治療は対象者にとっても有意義な時間となり、選手自身の理解力が高まり、自己管理能力向上を促せれば、繰り返すというリスクはさらに減らせるのではないでしょうか。

参考・引用文献
医学書院 運動器疾患の「なぜ?」がわかる臨床解剖学
整形外科リハビリテーション学会 改定第2版 関節機能解剖学に基づく整形外科運動療法ナビゲーション
オランダ徒手療法基礎コース・準徒手コース・徒手療法士コース授業内容

まとめ

・繰り返している治癒過程を阻害する要因の比重がどこにあるかによりアプローチ方法がかわる。
・主役は選手、クライアントであり、自己管理能力を向上させなければ繰り返すリスクがあがる。
・最終的なゴールがどんな運動/動作なのか明確にし、そこから機能的トレーニングを組んでいく。

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