ランナー必読!モートン病を引き起こす3つの原因と正しい対処方法

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運動不足を解消したくて始めたランニングも気づけば早5年。
念願の「ホノルルマラソン」のエントリーも完了し、心身ともに一層気合いが入り練習にも熱が入ってきた矢先、事件は起きた。いつものごとくランニングをしていると、段々足先に違和感が出始めた。初めは「靴の中に石ころでも入ったかな?」と思い、気にせず走っていると突如「ズキッ」と足先に痛みが走った。その後も似たような状態が続き思うように練習できない。

このように、大きな大会が控えているのに、足先の痛みで満足に練習できない経験をもつランナーの方は多いのではないでしょうか? もしかするとその症状は「モートン病」かもしれません。「早くなんとかしたい」「少しでも早く練習を再開したい」という気持ちはよく分かりますが、焦りは禁物です。下手をうつと日常生活にまで支障をきたすかもしれません。
「モートン病」に対する正しい対処法を学び、ホノルルマラソンに向けたタフな足裏作りをしていきましょう!!

1.モートン病とは?(病態、症状について)

モートン病は、「運動時に生じる足指間の痺れや痛みを伴う末梢神経障害」のことを指します(図1)。この病気は、1876年、トーマス・G・モルトン(Thomas G. Morton)により報告されています。原因は諸説ありますが、はっきりとした原因は分かっていません。諸説ある中でも、一般的な病態として、「足先まで走る神経の一部である趾神経(詳細には、総底側趾神経)が通過する靭帯のトンネル部分で何らかのストレス(擦れる/潰される)を受けた結果、痺れや痛みが出現する」と解釈されています。 

1−1.その症状・・・もしかして「モートン病」かも? (該当軍)

モートン病の訴えとして以下のようなものがあります。気になる方はチェックを入れて見てください。

  • 歩いたり、走ったりすると足指(特に第2-3趾間)に痺れや痛みが出る
  • 運動を中止すると徐々に症状は治まる
  • じっとしている時(安静時)もチクチクするような痛みが出る
  • 症状の出ていない足指に比べ、足先の感覚(触れられている感覚)が鈍い
  • 立っていると、足指に違和感を感じる(例え、小さな石ころを踏んでいるような感覚)

いかがでしたか?チェック項目が多くなると、モートン病の可能性が高くなり、さらに安静時にまで症状が出てくると重症化している可能性があるので早めに専門機関を受診下さい。では、この足指/足先に痛みや痺れを伴うモートン病ですが、他にどのような特徴があるか見ていきましょう。

1−2.モートン病になる人の4つの特徴(予備軍)

一般的には女性の割合が非常に多いのですが、男性にも起きます。しかし、これだけではありません。男女差以外にどのような特徴があるのでしょうか?
⑴ 日常的にハイヒールのような幅狭の靴を履いている方
⑵ 足裏の人差し指/中指/薬指の付け根に胼胝ができている方
⑶ 土踏まずがない/人より落ちている方
⑷ 長年同じ靴を履いている方
これらの特徴に該当する方はすでにモートン病になる一歩を踏み出している可能性があります。では、なぜこれらの特徴を有する方が将来的にモートン病になるのかを解説していきます。

2.モートン病になる3つの原因

モートン病になる原因はいくつかあります。それは以下の通りです。
●靴に問題がある方
●足自体に問題がある方
●生活シーンや運動シーンなどの日常生活に問題がある方
これらの原因を把握し、自分の問題点を知り、対処していくことが完治への第一歩となります。

2−1.靴の問題

女性であれば、ハイヒールにように靴先がシャープになっており、かつ爪先部分(前足部)で体重を支えるような形状の靴は大きな原因となります。また、長年同じ靴を履き続けている方も注意が必要です。なぜなら長期的に同じ靴を使用すれば、勿論靴裏が磨り減ります。磨り減った靴裏のまま歩けば、土台が不安定な状態ですので足の構造自体や歩き方にも悪影響が出てくる可能性が高くなりモートン病の一要因となります。靴の問題はモートン病に限らず様々な足の病気を招きますので、ご注意下さい。

2−2.足自体の問題 

 足に問題を抱えている方の多くは「足のアーチ」が崩れています。「土踏まず」と言い換えるとピン💡とくる方が多いと思います。このアーチの崩れは様々な足の病気を招くだけでなく、膝や股関節あるいは腰まで影響が出るほど重要な構造なのです。では、この聞き慣れない「アーチ」とは一体何でしょうか?

足のアーチとは、踵-親指-小指の三点を結んで弧を描くように膨らんでいる構造をアーチ構造と言います(下図参照)。このアーチ構造には、「内側アーチ」「外側アーチ」「横アーチ」の3つのアーチから成ります。これらアーチ構造には、“衝撃を吸収し、足にかかる負担を軽減する機能”“吸収した衝撃を推進力に変換する機能”をもっています。

アーチ構造の破綻で足部の機能が落ちる

今回のモートン病の場合、このアーチ構造が破綻し、足部の機能が落ちていることが多いのです。その為、前足部(爪先)に体重がかかった際に衝撃吸収力が半減し、そのまま足裏に負担がかかってしまうのです。 このように、横アーチが機能しなくなった足を「開張足」といいます。この足の状態で運動を続けていると局所に負荷(ここでは潰されるような圧迫)が集中し、モートン病になる危険性が高くなります。また、アーチが崩れている状態は足部のみならず、膝関節や股関節、はたまた腰部にまで影響を来してしまう可能性があります。ちなみにこの「開張足」の方の足裏にはこのような胼胝ができているのも特徴です。出典:pds.exblog.jp

足の横アーチが低下する原因

では、なぜ横アーチが低下してしまうのか?
それは、足部を支持する筋肉が正常に機能しなくなったからです。その原因として、①過用による筋力低下 ②その他アーチ機能低下による影響(特に内側縦アーチ低下)が挙げられます。どの関節も同じですが、動作が安定するには筋機能は必須です。足部で言えば、足裏にある足内在筋(図4)とふくらはぎ辺りに位置する足外在筋(図5)です。特にアーチ機能に関しては内在筋であれば母趾屈筋/母趾内転筋/短小趾屈筋が、外在筋であれば長/短腓骨筋が大きく影響します。歩行や走行時にこれらの機能が破綻もしくは低下するとアーチが低下してしまうのです。これらを解決するには、運動療法が効果的です。詳細は3章を参照ください。
 外在筋 内在筋

「足裏のQA
Q.なぜ、胼胝ができるのか?
A.胼胝は簡単に言うと“圧の集積した結果”です。つまり、胼胝ができている部分に負荷が集中していることになります。歩き方や走り方の癖が変化しない限り胼胝は削り取っても再度同じ場所にで続けてしまうのです。ご自分の足の裏はどうなっていますか?

2−3.急激な(無理な)運動量の増加

靴の問題、足自体の問題は一般的にも広まっていますが、以外に見落とされやすい問題として「急激な負荷の増加」があります。具体的には「健康診断で運動不足の指摘を受けてランニングを始めた」や「健康の為、通勤時に歩くようにした」「イベントが重なり、ハイヒールを履く機会が増えた」など様々なシーンで負荷の増加は潜んでいます。今まで症状が出なかったのに急に症状が出た際は、発症の前後に「(急激な)負荷の増加」となった出来事があるかもしれません。

今回の場合は、ホノルルマラソンという目標の為、急激に1日あたりの運動量が増加したり(110km120km)、週あたりのランニング距離が急激に増加したり(週2/週合計20km→週3/週合計60km)など練習の「負荷」と「強度」を一気に増やした結果、症状が出てきてしまうケースでしょう。マラソンの場合は、負荷を「距離」、強度を「速度」と置き換えると理解しやすいと思います。本来のトレーニングであれば、「負荷」か「強度」のいずれかを上げながら徐々に目標とすべき距離や時間に近づけていくようにトレーニングしていきます。

トレーニング時は負荷・強度の見極めが重要

なぜ、この方法なのか?そこには明確な目的があります。
それは、「負荷」や「強度」が「組織の強度(抵抗力とも言います)」の見極めをする為です。言い換えれば「怪我しないようにトレーニングを調整する」必要があるからなのです。このように原因は、靴の問題/足の構造的問題だけでなくトレーニングの量や強度、あるいは日常生活上の負荷も影響してくるのです。これらの原因によりモートン病を患ってしまうのですが、私たちはどのように対処していくべきなのでしょうか?

3.モートン病のスタンダードな治療法

モートン病の治療には、大きく保存療法と手術療法の2通りがあります。その中でも今回は保存療法を中心に解説していきます。

3−1.適切な靴の使用とインソール

(構造的に支えるインソールと、荷重方向を誘導するインソール)まず靴の問題に対しては、女性であればつま先部分が狭いヒールの使用を控え、局所の安静を保つようにすること。きちんと自分の足のサイズに合った靴の使用をすることも必要です。これらは、どの専門機関に行ってもまず初めにチェックされるポイントです。ですが、靴を変えるだけでは解決しない方も多いのが実際のところ。そこで、次なる手として「インソール(靴の中敷)による調整」があります。

3−1−1.インソールの種類と目的

インソールは、扱う治療者(主に理学療法士やシューフィッター)によって方法が異なりますが大きく2通りの考えから成り立ちます。1つは「構造的な支持を目的としたインソール」2つめは「荷重方向を誘導することを目的としたインソール」です。病院でよく処方されるものが「中足骨パッド(左図)」と言われる物で中敷に直接貼付し、直接横アーチを支えます。この方法は一般的にどの病院でも処方されることが多いです。

次に「荷重方向を誘導することを目的としたインソール」ですが、これは専門の研修会を受講した方のみが作成できる特殊なインソールです。詳細は割愛しますが、構造的に支えるというよりも負担となっている部分のストレスが分散するように荷重方向をコントロールするものです。この方法は、資格を有するセラピストがいなければ処方は受けられません。詳しくは下記のリンクを参考にして下さい。
関連施設紹介リンク:https://iritanimethod.jimdo.com/%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%AF/
さて、ここまでは適切な靴の使用や、インソールによる対処法を解説してきました。しかし、道具によるアプローチだけではありません。次は自分でも対処可能で、効果的な方法をお伝えします。

3−2.足裏を鍛える(足内在筋の強化でアーチを支える)

前述したように、足のアーチは内側/外側縦アーチ/横アーチの3つあります。このアーチはそれぞれ連動して動くことで衝撃を吸収したり、吸収した衝撃を推進力へ変換することが可能となるのです。これらの機能が十分に働くには、アーチを保持する「筋力」が必要です。そして、アーチを保持する筋肉には前述した外在筋(がいざいきん)と内在筋(ないざいきん)があり、これらを強化することがアーチ機能を高め、モートン病の改善に有効なのです。特にその中で、横アーチ保持に効果的な「タオルギャザー」という方法を解説していきます。

3−2−1.タオルギャザー

このエクササイズには以下の5つの筋肉を鍛えることができます。
・短母趾屈筋
・短趾屈筋
・長母趾屈筋
・長趾屈筋
・虫様筋

<方法① 一般的な方法>
一般的な方法は、以下のリンクより動画を参照ください。
https://youtu.be/ENZ9CPVIpdU

<方法② より足裏の筋肉を強化する方法>
①タオルを写真のように準備します(床がフローリングの場合は、タオルを湿らすと運動がしやすくなります)→②足先を内向きにした状態で指のグーパー運動を行います→③注意点として、指先が上がったり、足首を上下に動かさず、あくまで指で床を噛むように指を曲げることでしっかりと足裏の筋肉を強化します。④ポイントは足首を直角にせず、鋭角に足を置き、少し内向きにすることです。このようにすることで効果的に足裏の筋肉を集中して強化できます!!

 

3−3.注射療法(リドカインテスト/ステロイド)

どうしてもその場で症状を緩和してほしい方は、この注射療法が行われます。ですが、あくまで対症療法ですので一時的には効果がありますが、根本的な解決にならないので運動療法やインソールと併用することをお勧めします。ちなみに、注射療法として用いられるのが「リドカイン注射」と「ステロイド注射」です。効果は文献によっても様々ありますが、おおよそ5割程度の症状改善が見込めるようです。さらに、この注射(特にリドカイン注射)が効果がある場合は、予後も良好で保存療法でも解決できます。
しかし、これらの保存療法を行っても症状が改善しない、症状が強まる方は手術が必要です。では、どんな手術が必要となるのでしょうか? 

4.なるべく避けたい手術療法

手術療法には大きく2通りの方法があります。①神経を圧迫している靭帯(横中足靭帯)の切離と②原因となっている神経腫を含めた指間神経の切除です。これら、2つの手術ですが避けたい理由があります。それは、手術を行っても症状が再発してしまうことが多かったり、軽快しない例が2040%と多いからです。これは手術を受けるにあたって知っておくべき情報です。そして、以下の項目に該当する方は慎重な判断が必要となります。

  • 注射療法の効果がなかった方
  • 過去に複数回の注射療法を受けている方
  • 糖尿病などの代謝疾患をお持ちの方
    これに該当する方はしっかりと担当医と相談する必要があります。その為にも信頼できる医師/病院選びが大事になりますね。

5.まとめ

 モートン病のほとんどは①適切な靴の使用②インソールやパッドなどの装具療法③アーチを保持する筋力強化などの運動療法で改善していくことがほとんどです。ですが、一度運動による負荷のコントロールを誤ってしまえば、重症化しかねないことも覚えておいてください。そして、重症化してしまい手術までに至るケースになると完治することが難しくなることさえあります。これからも人生の楽しみであるマラソンを続けて行く為には、適切な対処法を知り、実践していきましょう!!

引用文献
・高尾昌人 「Morton病」関節外科vol.28(7) 49-53 2009
・安田稔人 「前足部有痛性疾患 −外反母趾,Freiberg病,Morton病」 関節外科vol.31(10) 341-342 2012
参考文献
・林 典雄 「関節機能解剖学に基づく整形外科運動療法ナビゲーション 下肢」206-209 2014

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