怖さもしらないと!ステロイド(関節注射)治療の効果と副作用

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1.ステロイド治療の効果と副作用

父「やったー!!東京マラソンに当選したぞ!!」
息子「パパ!!すごい!かっこいいー!!」
母「大丈夫?フルマラソンなんてやったことないじゃない。心配だわ」

大会にあわせ、忙しい仕事を調整しながら、トレーニングに励む父。
普段運動をしていることもあり、体調もよい日が続く。
・・・しかし、トレーニング量、質の増大とともに、膝に違和感、痛みを感じる。

そんな日々の中、テレビやインターネットでステロイド治療の存在を知る。
ステロイド治療

薬だということはわかるが、どんな薬だろう?
注射?飲み薬?塗り薬?
副作用が怖いとはきくけど…
はたして、本当にステロイド治療を行わないといけないほどなのか…?

そんな方におすすめです。一緒にステロイド治療について理解しましょう!!

1-1  ステロイド治療の効果

① 炎症を抑える(抗炎症作用)

② 痛みをとる(除痛

これが最大の効果です。
ステロイド薬(関節注射)は強力な抗炎症剤です。

特に短期的(2週~3週)に効果を発揮されるといわれています。

では、簡単に、
ステロイドとは、腎臓の上に位置する副腎という組織から分泌されているホルモン(副腎皮質ステロイド;グルココルチコイド)の一つです。
ステロイド薬の効果がみられる疾患の根本には、免疫の異常、アレルギー作用、炎症という病態があります。

ステロイド薬は免疫、アレルギーを抑え(免疫抑制作用・抗アレルギー作用)、炎症を抑える(抗炎症作用)作用があるために、様々な疾患に対し、治療効果をもたらします。

          引用文献
          
羊土社  ステロイドのエビデンス ステロイドの使い方の答えはここにある
          南江堂 
今日の治療薬2016 ー解説と便覧ー

父「良い薬だな。スポーツ選手もやってるし、痛みがとれるなら!!」
息子「よかったね!やってもらいなよ」
母「良いことばっかりじゃないんでしょ?お薬なんだから…」

1-2  ステロイド治療の副作用

「効果があるってことは怖いこともあるでしょう??」
心配ですよね。
ここがしっかり覚えてほしいところです。
 副作用について、お話します。

①感染性関節炎(痛み、腫れ、熱感、発赤)
②関節破壊
③皮膚萎縮
④リボジストロフィー(脂肪萎縮症)
⑤皮膚の色素脱失
といった副作用があるといわれています。

必ず症状としてでてしまうということではないです。
ただし、 

研究では、ステロイド薬(関節注射)投与により
・腱細胞の増殖の阻害作用
・腱の修復阻害作用
・コラーゲン繊維束の伸び縮みする能力の減少なども報告されています。
つまり、簡単にいうと

局所の組織が弱くなる(脆弱性)・抵抗力が落ちるということです。

炎症を抑える力がある薬ということは、
 元気な腱や筋肉、軟骨などの抵抗力を落としてしまうということがいえます
関節注射での全身性の合併症(骨粗しょう症、満月様顔貌、体重増加、浮腫)は稀だといわれています。
         引用文献
         丸善出版 関節・軟部組織注射マニュアル 基本テクニックと診断 原書第5版
         羊土社  ステロイドのエビデンス ステロイドの使い方の答えはここにある

「ん?やはり副作用は気になるな…。ただ痛みはあるから…やってもらいたい気持ちはあるな」
息子「薬は怖い事もあるんだね」
母「ほらね。ただの痛み止めの薬のほうが良さそうよ。副作用があるのに何回打つの?怖いじゃない。」

2.ステロイド治療は何回も必要?

効果、副作用とお話ししてきました。
 次は、どの程度治療が必要なのか?が気になると思います。

2-1  ステロイド治療の頻度は?

①一般的な勧告としては、ステロイド注射薬の局所投与は、同じ箇所には年間に3~4回程度とする。

②ステロイドを加えた注射は3ヶ月に1回以上行ってはいけない

局所投与であっても、より頻回であれば、長期ステロイド内服と同様の不利益をもたらす可能性があるということです。

2-2  ステロイド治療の持続性は?

ステロイド(関節注射)の作用でお話ししましたが、
短期(2~3週)での効果は有用とされている研究も多数あります。
その一方で、
長期の有益性については研究論文においても、証明されていない現状です。
そのため、
1ヵ所にどのくらいの頻度で1人に何ヵ所の注射をしてよいか決まった規則は現段階では特にないといわれています。
 

2-3  ステロイド治療後の注意点

ステロイド注射後、2~3日は無理をせず、痛みを伴う運動はさけるようにする。その後通常の痛みを伴わない運動へと徐々に戻していく。

         引用文献
         丸善出版 関節・軟部組織注射マニュアル 基本テクニックと診断 原書第5版

「強い薬だから弊害もあるということか。確かにまだ俺は他の治療や市販の痛み止め薬も何も使ってないからな」
息子「お医者さんとよーく相談して、決めないといけない治療方法なんだね」
母「あなたにもできるの?誰でも良いわけではないでしょ」

3.だれにでも行えるの?治療できないこともあるの?

治療を行うにあたり効果がでない、むしろ悪影響を及ぼす可能性があるものは治療対象になりません。これは「禁忌」と呼ばれています。

関節注射ステロイド薬の絶対禁忌・相対禁忌※
※相対禁忌とは…基本的には禁忌事項にあたるものだが、条件によっては認められる場合があるもの
ー絶対禁忌ー
・関節の感染症(蜂窩識炎、化膿性関節炎、ブドウ球菌感染など)
・活動性結核

ー相対禁忌ー
・糖尿病
・高血圧
・骨粗しょう症
・甲状腺機能亢進症
・人工関節など人工物の存在する関節
・妊婦
             引用文献
              関節・軟部組織注射マニュアル 基本テクニックと診断 原書5版 

父「これは大丈夫そうだ」
息子「勝手に決めちゃだめ!お医者さんにみてもらってから!!」
母「そーね。あっ、そうそう。となりのだんなさん。ステロイドのお薬飲んでるって。注射以外に飲み薬もあるのね。」

4.ステロイド治療は関節注射以外にもあるの?

今回は関節注射にスポットをあてていますが、ステロイド薬には様々な種類があります。

4-1  ステロイド薬の種類

経口剤(飲み薬)
座剤(肛門から挿入)
外用剤(皮膚外用剤、噴霧剤、点眼薬、口腔用剤)
注射剤(皮内注射、皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射、関節腔内注射)

注射剤でも、ステロイド以外にたくさんの種類の薬があります。
それにより効果や頻度ももちろん変わります。

4-2  ステロイド薬の適応疾患

ステロイド薬は種類がたくさんあるように、様々な病気、怪我に使用されています。
それはステロイド薬が「抗炎症作用」「抗アレルギー作用」「免疫作用」があるためです。

表1.ステロイドの適応症、注意

適応症

使用上の注意

各種関節炎・軟部組織の炎症(注射療法)

多量または頻回投与で全身的副作用 症状の強い場合とし、定期投与は避ける

副腎不全 離脱症候群

急性副腎不全など、症状によってはショックに準じた増量が必要

関節リウマチ

早期例では抗リウマチ薬に併用可能だが、6ヶ月以内に漸減・中止も考慮

軽度膠原病

症状改善すれば漸減・中止も考慮

多くの皮膚疾患

局所少量では全身的副作用ほとんどなし 重症では密封包帯法(副作用あり)

上記のほかにも適応疾患はあるので、本当に幅が広い治療薬ということです。

                    引用文献
                    南江堂  今日の治療薬2016 ー解説と便覧ー

父「本当にいろいろあって、それぞれで注意が必要なんだな」
息子「難しくてよくわかんないね。あっ!ぱぱもう今日練習しないの??」
父「今ががんばり時だからな!!やるか!!」
母「膝痛いって言ってるんだから無理しすぎないでよ。仕事の後にがんばってるんだから」

5.コラム:ちょっと待って!本当にステロイド治療が今必要?

なぜ、今回トレーニングを日々行っていたのに痛みがでたのだろうか?

原因はもちろんひとそれぞれであり、専門医の診断が必要であることは間違いありません。

ただ、今回の原因は明らかに東京マラソンに出場するためのトレーニング量、質の増加がポイントとなっています。

さて、ここで「抵抗力VS負荷」というキーワードを挙げてみます。
ここでいう
抵抗力とは、外的な負荷に対して、組織(筋肉や腱、半月板など)が耐えうることのできる「強度×量」とのことです。
負荷とは、ここでは東京マラソンを完走するために日々がんばって行っているトレーニングにあたります。

簡単にいえば、
「トレーニング量、質の増加に、体(膝)が耐えられていない。」
「オーバーワーク」という状態です。

抵抗力を上回る急激な負荷の変化が、痛みを生じる一つの要因となります。
そのため、痛みを緩和、コントロールするには、

「トレーニングの量、質をコントロールする」

「局所の抵抗力をあげる」

という方法へとつながります。
もちろん、要因はひとつだけではないことが多いため、多角的に診ていく必要がありますね。
たとえば、ステロイドを使わなくてすむ鎮痛薬(非ステロイド性抗炎症薬)治療や
専門の医療従事者による運動療法や物理療法、患者指導などで対応できないのか。
それこそ、マラソン大会に出場できる体の状態が間に合わないのであれば、無理してステロイド注射は行わず、大会を辞退する…という場合もあるでしょう。
「抵抗力vs負荷量」のバランスを保ちながら、上手く「刺激」と「栄養」と「休息」とを組み合わせて、局所的なアミノ酸合成や繊維化、水分含有量の増大…ほか物理的な抵抗力を構造的な変化により強くしていくわけですが、大前提である、自律神経の特に副交感神経の働きが弱くなっている/働かない時には、いくらよい条件が揃っても組織は強くなっていくことはあり得ません。
これこそが「ステロイド」を試してみるべきタイミングで、副作用が強い「ステロイド」を使用する前には、「全ての治癒するための可能性を試してみて成果が得られていないこと」を確認することが大切です。

ステロイドにより自律神経機能が戻り、また日常の「刺激」が適度な質と量との負荷であり、また日常生活の休みが適度な「休息」となり、日常の食生活が適度な「栄養」となる…たまたま3つが揃っただけであり、3つの適度な「××」が1つでも揃わなければ、再発を繰り返すでしょう。
            引用・参考文献
             Sportsmedicine 月刊スポーツメディシン10月号 
             土屋 潤二 一般社団法人日本オランダ徒手療法協会代表理事

人には長所、短所があり
物事にはメリット、デメリットがあり
薬には作用、副作用がある。
そして、ステロイド薬は
様々な疾患に対応できること
薬の種類が多様なこと

それぞれ作用、副作用の程度は違ってくるため、必ず専門医、薬剤師に相談、説明してもらうことを強くお勧めいたします!!

6.まとめ

つまりステロイド関節注射について大事なことは・・・
 
・短期間では痛み、炎症を抑える効果あり

ただし、健康な組織も弱く(脆弱化)してしまう

・ステロイド薬は多種多様な種類があり、それぞれで効果、副作用の程度が違う

本当にステロイド関節注射が今の状態に必要なのか?(その人の今後の生活含め)専門職にしっかりみてもらう必要がある治療方法であるということ

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