基本に忠実に!肩のトレーニング効果はインナーで決まる!

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最近、巷でも耳にするようになってきた“肩のインナートレーニング”。有名なスポーツ選手も積極的に練習に取り入れたり、障害予防を目的にプロ・アマチュア団体でも盛んに行われるようになり、科学的なトレーニングの進歩と言えるでしょう。

しかし、そのインナートレーニングは結果を出せているのでしょうか? 

トレーニングを実施した方からは「あまり効いた感じがしない」「本当にこれって効くの?」などの意見をよく耳にします。

そもそもインナートレーニングをする重要性とは何でしょうか?
インナートレーニングをすることで得られるものは何でしょうか?
パフォーマンスに繋がるインナートレーニングとは何でしょうか?

 そこで、今回はパフォーマンスアップに繋がる為のインナートレーニングについて説明していきます。

目次

1.パフォーマンスを挙げる条件とは!?

1−1.インナーマッスルとは?

インナーマッスル(以下、インナー)は、身体の中で関節の位置を正常に保つという役割を果たしています。スポーツやトレーニングで激しく動く肩は、関節の位置が正常に保たれていなければ、関節に負担がかかりパフォーマンスの悪化、そして怪我に繋がります。

つまり、インナーの機能が低下すれば“パフォーマンスが低下する”、“怪我をしやすくなる”と言えます。しかし、逆を返せばインナーがしっかり機能していると鍛える筋力の最大出力を発揮させる機能もあるのです。インナーを鍛え、調整することは本来備わっている能力を最大限に近い状態を引き出すことが可能になるのです。

只々、筋力強化をするだけではパフォーマンスは上がらない。だから、効率的かつ潜在的な能力を引き出す為には、インナートレーニングが重要なのです。

インナーを鍛える前に知るべき二つの関節

肩には、肩甲骨と上腕骨(腕の骨)がなす肩甲上腕関節と肩甲骨と胸郭(肋骨)がなす肩甲胸郭関節があります。インナーの機能低下が生じると、まず肩甲上腕関節に悪影響が生じてきます。さらに、波及して肩甲胸郭関節にも影響を及ぼし、肩の痛みにつながりやすい為、インナーと肩甲上腕関節の構造を理解することが重要となります。

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肩は色んな方向に動く不安定な関節

肩甲上腕関節は球関節で非常に股関節と似ています。唯一、大きな違いは受け皿である臼蓋の大きさにあります。股関節はボール状の骨頭と、受け皿である臼蓋の大きさがほぼ等しい為(1:1)、骨同士の適合性が高いといえます。一方、肩関節は股関節と比べ臼蓋に対する骨頭の大きさは約3倍(1:3)であり、骨同士の適合性は低いのです。つまり、肩関節は様々な運動が起こる=不安定な関節なのです。

 

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肩周りの軟部組織によって肩は安定する!! 

重要となるのが関節唇や靭帯などの軟部組織やインナーによる安定化システムです。軟部組織である関節唇は関節窩の深さを2倍に拡げ、不安定な関節の適合性を高める役割を担います。いわば吸盤のような役割です。さらに、その周りを覆う関節上腕靭帯(上/中/前下/後下)や関節包によって骨頭と関節窩の間を繋ぎ、あらゆる方向への安定性を高めています。

 

ここまでは、肩は不安定にも関わらず周りの軟部組織(関節唇や関節包、靭帯)や肩の筋肉であるインナーによって安定していることを説明してきました。

では、実際の動作“手を挙げる”動作について理解していきましょう!!

1−2.インナーとアウターの密接な関係性とは?

“手を挙げる動作”では、肩のインナーである棘上筋や棘下筋とアウターである三角筋が働いて手が上がります。

肩関節挙上運動をイメージする場合、テコを想像するとイメージが湧くと思います。テコには支点・力点・作用点があり、人体には様々な関節でテコの原理が応用されています。ちなみに、「肩は第3のテコ」です。

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右図に示しているように、骨頭と関節窩の間が支点、三角筋付着部が力点になります。では、ここで質問ですが「もし、テコ(第3のテコ)の支点がぐらついていたら、手は挙がりますか?」答えは「挙がらない!!」です。理由は簡単です。支点が安定していない状態で力点が働いてしまえば骨頭は上方へ変位してしまいます。

 

では、どうすれば手は挙がるのか? それは、支点を安定させることです。そこで、重要となるのが棘上筋/棘下筋/小円筋/肩甲下筋などのインナーマッスルです。インナーマッスルは、関節運動軸に最も近い位置するため、運動の支点作り(運動軸を安定させるため)に非常に重要な役割を果たします。

もちろん、手を挙げる為には重い腕を持ち挙げる為のトルクをもつ三角筋/大胸筋などのアウターマッスルも大事ですが、効率よく手を挙げるには、インナーとアウターの絶妙なバランスが非常に重要となってきます。どちらが強くても手は挙がらない。肩はそれほど繊細な関節であるとも言えます。

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2.効果的なインナートレーニングの How toとは?

一般的には、「この角度まで動かしましょう!」「このように動かしましょう!」と老若男女問わず、同様の指導がされます。しかし、人間には個人差があり、肩の可動域も人それぞれ異なります。その為、やり方だけ真似をしてもトレーニングの本質をついていかなければ効果的なトレーニングにはなりません。下手をすると良くしたい肩が痛む。。。なんて事にもなりかねないのです。そこで、最大限の効果を発揮できる為のトレーニングの本質を皆さんにお伝えしていきたいと思います。

2−1.インナートレーニングを行う上で注意すべき三か条!!

其の一 インナーを鍛えたいなら、肩甲上腕関節をしっかり動かす!!
其の二 インナーを鍛えたいなら、肩甲骨の動きを見落とさない!!
其の三 インナーを鍛えたいなら、姿勢に気をつける!!

いまからお伝えするトレーニングは一般的にも知られている方法です。

しかし、一般的な内容だからこそきちんとトレーニングの誤りや、何を目的に運動するかを再度、確認した上で指導することが効果的なトレーニングに繋がります。

特に、上記の三か条は皆さんがよく見落としたり、間違って運動したりするポイントなので、しっかりと押さえた上で実践してみてください!!

そして、いままでのトレーニングを再度見直し、よりワンランク上の運動、指導を目指しましょう!!!

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肩のインナートレーニングの対象筋(右図)

  • 棘上筋(きょくじょうきん)
  • 棘下筋(きょくかきん)
  • 肩甲下筋(けんこうかきん)

 

2−1−(1).棘上筋トレーニング フルキャンエクササイズimg_2349

其の一 肩甲上腕関節をしっかり動かす!! 

①“気をつけ”の状態がスタートポジション(親指上)
② 腕を外に向かって約30度挙げる。→肩甲上腕関節をしっかり動かす!!

※ 手を挙げる方向は肩甲骨面である約45度の方向(下図参照)

 

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其の二 肩甲骨の動きを見落とさない!!
肩をすくめているのがよく分かります。これでは、肝心の肩甲上腕関節の動きが出ず、肩甲骨の動きが大きくなった典型例です!!

これでは、効果が薄れてしまいます!!

また、手を外に挙げすぎても同様に効果が薄れてしまいます!

 

 

 

2−1−(2).棘上筋トレーニング エンプティキャンエクササイズimg_2146

其の一 肩甲上腕関節をしっかり動かす!!

①“気をつけ”の状態がスタートポジション(親指上)
② 腕を外に向かって約30度挙げる。→肩甲上腕関節をしっかり動かす!!

※ 手を挙げる方向は肩甲骨面である約45度の方向(下図参照)

 

 

其の二 肩甲骨の動きを見落とさない!!img_2151-1

肩をすくめているのがよく分かります。これでは、肝心の肩甲上腕関節の動きが出ず、肩甲骨の動きが大きくなった典型例です!!

これでは、効果が薄れてしまいます!!

また、手を外に挙げすぎても同様に効果が薄れてしまうので、挙げる角度にもこだわりましょう。

※ 適切な角度はインナーが最も活動する0−30度です!!

 

知っ得!?効果的な棘上筋トレーニングはどっち?フルキャン VS エンプティーキャン

実際、棘上筋のトレーニングとして効果的な肢位は果たしてどちらが効果的なのでしょうか??

過去の文献にフルキャンとエンプティキャンで棘上筋の筋活動を比較した研究があります。

この論文には、フルキャンでの0−30度にて棘上筋が最も活動すると述べられています。さらに、フルキャンとエンプティキャンでは、フルキャンの方がより棘上筋の活動が高いと報告されています。

つまり、現段階では棘上筋トレーニングはエンプティキャンよりフルキャンの方が活動が高い=棘上筋トレーニングはフルキャンがより効果的にトレーニングできる可能性があるということになります!!

参考文献:Kelly; American Journal of Sports Medicine, 1996, 24

 

2−1−(3).棘下筋トレーニングimg_2350

其の一 肩甲上腕関節をしっかり動かす!

①脇を締め、肘を90度に曲げた状態をスタートポジションとする。
② 腕を外に向かって広げる。

 →肩甲上腕関節をしっかり動かす!!
→動かす肩の部分に触れながら運動すると、し っかりと動かせます!!

※ 腕を開く角度は約30度程度で十分です!!

 

其の二 肩甲骨の動きを見落とさない!!img_2354

右図では、右肩甲骨が大きく背骨に近づいているのが分かります!!

さらに、体全体が運動方向に向かって捻れているため、肩甲骨だけでなく、体幹の運動も同時に起こってしまいます!!

何度も言いますが、インナートレーニングの目的は、肩甲上腕関節(上腕骨と肩甲骨の間の関節)をしっかりと動かさなければ効果的なトレーニングになりません!!!

 

2−1−(4).肩甲下筋トレーニングimg_2352

其の一 肩甲上腕関節をしっかり動かす!

①脇を締め、肘を90度に曲げた状態をスタートポジションとする。
② 腕を内に向かって広げる。

→肩甲上腕関節をしっかり動かす!!
→動かす肩の部分に触れながら運動すると、しっかりと動かせます!!

 

 

其の二 肩甲骨の動きを見落とさない!!img_2353

右図では、脇を締めすぎてしまい腕が過度に内転している状態です。よくある誤った運動で、アウターである大胸筋が過剰に働いている典型例です。そこで重要となるのが、アウターの収縮を抑えること!!

自分で、あまり活動して欲しくない大胸筋を触れ、その筋肉に収縮が入らないように意識することも効果的なトレーニングへの第一歩です!!

 

ここまでは、インナートレーニングの効果を最大限に引き出すためのポイントや注意すべき運動を述べてきました。これらの注意点を守るだけでも今までのトレーニングよりは格段に効果が得られやすくなっているはずです!!

とは言うものの、実はまだ効果を高めるポイントがあります!!それは、トレーニング中の姿勢です!!

最後にトレーニング時の良い姿勢、悪い姿勢についてお伝えしていきます!!

2−1−(5).トレーニングを左右する姿勢

下図は、いろんな姿勢のバリエーションです。

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図中の最左(A)は理想的な姿勢を表しています。

なぜ、トレーニング中の姿勢が大事かというと、背骨の彎曲(曲がりの程度)によってインナーの土台となる肩甲骨の位置が変化してしまうからです。

(B)のような背骨が大きく曲がった状態では、肩甲骨が大きく外側かつ上方へ位置してることが多く、肩甲骨がいい位置にあるとは言えません。

(C)や(D)は一見、姿勢は良さそうに見えますが、( A)や(B)に比べると骨盤が前( Cは骨盤後傾位、Dは骨盤後傾位+前方並進)に位置しています。そのため、(B)と同様に肩甲骨の位置は外側に位置しやすい状態です。

上記のような姿勢では、せっかくのトレーニングの効果も薄れやすくなります。

効果的なトレーニングのためには、このような姿勢に配慮することも重要なポイントになります!!

ちなみに、いい姿勢を見分けるには下図を参考にしてみてください。

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一般的なインナートレーニングとして知られている内容でも、①きちんと目的に沿った関節(肩甲上腕関節)を動かすこと②肩甲骨を動かしすぎないこと③トレーニング時の姿勢にも注意することの三か条に注意することで今までよりはるかに質の高いトレーニングとなることでしょう!!

では、実際行ったトレーニングが果たして効いているのでしょうか。

トレーニングの“やりっぱなし”になっていませんか?

次の章では、目的の部分(ここではインナーマッスル)が効果的にトレーニングできているかなどの効果判定についてお伝えしていきます。

2−2.意外に知られていないインナートレーニングの効果判定

インナートレーニングの効果判定には、2つのテストを行います。

①Initial abduction test(イニシャルアブダクション) ②45° Abduction test(45°アブダクション)です。

本来、これらのテストはインナーの”力の強さ”と”痛み”と”肩甲骨の反応”をみていく為の評価です。

このテストで「力が出ない」「痛い」という結果が出た人の中で、肩甲骨の反応(肩甲骨を固定した結果)で、症状が変化する場合はインナーよりも肩甲骨の固定性が問題となります。このようにインナーに問題があるのか? 肩甲骨に問題があるのか?を見ていく為の評価になります。

その為、イニシャルアブダクションで力が入らなければ”インナーそのものの問題(筋力低下もしくは、損傷の可能性)” 一方、45°アブダクションで”痛み”もしくは”力が入らない”のであれば腱板機能不全もしくは、(肩甲骨を固定した場合に症状が変化すれば)肩甲骨の問題となります。

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今回の効果判定の目的は、あくまでインナーなのでイニシャルアブダクションテストで効果を判定していくことになります。ですので、しっかりとインナーに効果的なトレーニングが出来ていた場合は、上記のテストでしっかりと力が出せる状態になっているはずです!!

これらのテスト参考に、ぜひトレーニング前後の効果判定を行い、質の高いトレーニングをやっていきましょう!!

3.インナーを鍛えるなら〇〇を使え!!

みなさんは、インナーを強化する場合。どんな理由で道具を選択していますか? 実際の所は、”参考書に載っていたから”や、”チューブでやるように指導されたから”が多いのではないでしょうか?

ここでは、道具を選択するにも目的をもって取り組んでいくことが効果を挙げる上では重要になります。

まず、道具を選択するには各道具の特性をしっかりと把握しましょう。

3−1.道具の選択

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3−1−(1).セラバンドの特性とは?

セラバンドは、ゴムの伸縮性が抵抗となるので、ゴムの弾性が負荷となります。セラバンドは長さの250%までは一定して負荷量が増していくので、伸張される距離に比例して負荷が変化します。その為、運動の初期は負荷が弱く、最終域で最も抵抗がかかるという特徴があります。一方、負荷が一定ではない為、負荷量の調整がしにくいのはデメリットと言えます。

 

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3−1−(2).ダンベルの特性とは?


ダンベルは、質量が決まっているので負荷量の調整がしやすく、一定の負荷(抵抗)がかけれることが特徴です。ただし、重力を応用したトレーニングなので、生じる抵抗は常に重力方向と同じで上から下へ負荷が生じます。その為、運動肢位を考慮して使用しなければなりません。

 

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3−1−(3).(番外編)実はうちわが効果的!?

実は“うちわで扇ぐ”動作がインナーを促通しやすいという研究結果もでています。ここでは、簡単に説明しますが、①うちわで顔を扇ぐ動作と ②七輪を扇ぐ動作、各々を30秒間行わせたところ、肩全体の筋力(厳密には筋出力)が向上するという結果が出ています。このエクササイズは強化目的というよりは、肩全体(肩甲骨も含め)の協調性や腱板の促通の手段として効果的です。

 

では、トレーニングしたインナー機能をパフォーマンンスに繋げる為には、どのような視点を持って取り組んでいく必要があるのでしょうか?

次の章では、パフォーマンスアップの為に必要な運動連鎖という考え方について。そして、その中でインナーのトレーニングがなぜ重要となってくるかをお伝えしていきます!!

4.インナートレーニングを、パフォーマンスに繋げるコツ

皆さん、そもそもパフォーマンスと聞いてどんなことを想像しますか?

辞書から引用すると・・・

パフォーマンスとは、”演技”や”演奏”、”人目を引こうとする行為” ”性能やできばえ”などを意味します。

それでは、スポーツでのパフォーマンスとは何を指すのでしょうか?

野球であれば、球速が上がることやコントロールの精度が高まること。
バレーであれば、各コースに打ち分けたり、早いアタックが打てること。
サーフィンであれば、パドリングのスピードが上がること。

様々な競技に応じてスピード、パワー、高さなど求められる能力が異なります。

どんなスポーツにおいても動きに無駄がなく、かつ自身の持つ最大限の力発揮がコンスタントに可能になった時にパフォーマンスが上がったと言えるのではないでしょうか。これらの状態を維持、向上させるために知るべき”運動連鎖”という理論があります。

4−1.運動連鎖とは?

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運動連鎖(Kinetic chain)とは、”運動が連なった鎖のように次々と展開される”というと理解しやすいかもしれません。

余談ですが、もともとは工学分野で用いられた理論ですが、1955年にSteindlerが人間に応用したのがきっかけだそうですが、現代では頻繁に耳にするようになってきました。

では、この運動連鎖とインナーがどのように関係してくるか考えていきましょう。

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右図は投球動作での運動連鎖をイメージしたものです。

投球動作では、運動連鎖によって体の分節(各関節)がどのようにパワーを伝達しているか?が重要な視点になってきます。図を見てみると足部から膝、膝から股関節と段々と隣接する関節に運動が伝わりながらスピードが上がっているのが分かります。ですので、分節間の運動の受け渡しがうまくいくことが、パフォーマンスアップに繋がり、かつ効率的で、無駄のない動きに直結してくるものと考えます。

 

 

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では、分節間の運動の受け渡しがうまくいかない場合(つまり運動連鎖が破綻してしまう)はどうなるのか?

そうです。パフォーマンスは低下してしまいます。

さらにパフォーマンスが低下するだけでなく、破綻した分節(関節)に隣接する分節(関節)に影響を及ぼします。しかし、人間の身体はよくできていて破綻した分節を他の分節が補うことでパフォーマンスが維持されます。

しかし、そう長くは保ちません。破綻した部分から徐々に障害が発生してきます。

今回、肩がテーマですので肩で例えるなら・・・

脊椎がなんらかの原因で可動性が低下した場合、脊椎に隣接する肋骨を介して肩甲骨の動きに影響が出てきます。さらに、肩甲骨を土台として動く、上腕骨にも動きの変化が生じます。その為、肩甲骨と上腕骨(骨頭)の間の関節である肩甲上腕関節(さきほどインナーで重要となる関節でしたよね?)へのストレスが増え、パフォーマンスが低下する。もしくは痛みを引き起こす可能性がでてきます。

その為、パフォーマンスを上げる為には、運動連鎖が破綻しやすい分節を見抜き強化していくことが重要なポイントになってきます。逆に言えば、運動連鎖が破綻しかけている。もしくは破綻しそうな分節が放置された場合は怪我・障害に繋がるとも言えます。ですので、”パフォーマンスアップ”も”障害予防”も表裏一体のようなものではないでしょうか。

では、肩のインナートレーニングをパフォーマンスにつなげるには、どこに目を向ければよいかを次の項でお伝えしてきます。

4−2.隣接関節の動きをチェックする!!

運動連鎖の項でも述べたように、隣接する関節同士の柔軟性は末端に力を伝達していく(野球で言えば、ボールリリースの場面)上では、重要なポイントになります。つまり、肩で言えば肩甲骨や脊椎(胸椎)がそれにあたります。これから、肩甲骨の動き/胸椎の動きの確認をどのようにするかをお伝えしていきます。

4−2−1.肩甲骨の柔軟性 セルフチェックポイント

ウィンギングエクササイズ

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左図:両肩・肘90度屈曲位から開始

中図:左図を維持しながら両腕を水平に開き、肩甲骨を背骨に引き寄せる

右図:中図の状態から手の甲を合わせるようにバンザイをする

これら、一連の運動をスムーズにできるか?十分に肩甲骨が背骨に寄ったり、背骨から離れたりできるか?などチェックしてみて下さい。肩甲骨の動きがチェックしやすいので、可能であれば上半身まで露出させて確認して下さい。

4−2−2.胸椎の柔軟性 セルフチェックポイント

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左図:頭の後ろで手を組み、かつランジ動作(膝立て位からどちらかの足を前方に踏み出させた状態)を組み合わせた姿勢を開始肢位とする。

左図:手を組んだ状態で天井を仰ぎどれだけ背骨(脊柱)が反れるかを評価します。左図のように十分に背骨が反れると背骨の柔軟性があると評価できます。

 

以上の隣接する関節や部位をチェックし、柔軟性を向上させることでインナートレーニングで得た肩甲上腕関節の機能を最大限に生かし、パフォーマンスアップに繋げていきましょう!!!!

5.まとめ

インナートレーニンングをパフォーマンスアップにつなげる為には・・・

①適切な運動指導ができること(誤り動作を見抜き、修正する能力)
②トレーニング後の効果判定を行い、適切に実施されたか確認(評価)すること
③トレーニングに応じて適切な道具を選択できること
④運動連鎖を把握し、隣接関節の柔軟性に注意すること

まだまだパフォーマンスアップの一部分をお話ししたに過ぎません。しかし、上記のような基本的な内容の積み重ねがパフォーマンスアップの近道とも言えます。

 

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